PICK&UP N o.26 一般社団法人 蒼いまちおこしカンパニー -東松島市-
「東松島を“食”で盛り上げたい」
3人の新たな挑戦
令和4年7月、東松島市に新たに設立された団体「一般社団法人 蒼いまちおこしカンパニー」。代表理事を務める櫻井政文さんと理事の荒山勝三さん、渥美勝之さんの3人が発起人となり、健康に資する食の提供による健康寿命延伸への貢献や、地元食材を活用した地方創生商品の開発による社会課題解決、地域経済の発展に寄与することを目的に発足された団体です。
今回は、蒼いまちおこしカンパニーの理事の皆さんに団体設立に至った経緯、今後展開していきたいことなどをお聞きしました。
「東松島に町おこしの会社を作るべきだ」
東松島市(旧矢本町)で生まれ育ち、大学卒業後は東京でIT関連ビジネスや出版・編集等の仕事をしていたが、東日本大震災を機に地元東松島市に戻り、平成29年から東松島市市議会議員として活動している。
市の現状と向き合うなかで「一次産業である農業・漁業を盛り上げたい」、「人口減少が進む中で東松島市を住みたくなる町にするためにはどうしたら良いか」と考えていた櫻井さん。様々な観点から見つめ直し、たどり着いたのは、雇用創出に繋げるための食品加工やブランド化の確立、6次産業化だった。
前々から「食で東松島を盛り上げたい」という思いがあった櫻井さんは、自身が役員を務める株式会社櫻&鷹プラスにて食品開発を開始した際に、「東松島市にも町おこしの会社を作るべき!」と思い、“食”を主軸としたまちおこしの事業を行うべく「一般社団法人 蒼いまちおこしカンパニー」を立ち上げた。“やりたい”と思ってから設立まではわずか半年たらず。ブルーインパルスのようなスピード感だ。
市の食材を活用した地域振興になるような新たな商品を作り、産学官で連携しながら 食で地域を盛り上げていきたいという熱い思いから、本格的に食品開発に力を入れ、今夏3種類の「ブルーインパルスカレー」を完成させた。今後は旨味調味料やお酒など幅広いジャンルで商品開発を行い、希少性の高い商品を作り上げていく予定とのこと。
「味ではなく、想いで勝負」
東日本大震災前に、石巻市の水産会社からの紹介をきっかけに出会った荒山さんと櫻井さん。櫻井さんの「食で地域を盛り上げたい」という熱意に胸を打たれ、二人の「ブルーインパルスカレー」の商品開発が始まったそう。
長年、食品加工等の仕事に携わっており、開発から販売まで一連の仕事をこなすことができる荒山さん。25歳から20年間、紀文で豆乳の仕事に携わったのち、45歳の時に独立。ファミリーレストラン、スーパー等への商品開発販売を手がけ、大好きなカレーも創った。65歳からは国立薬膳カレー等を中心に健康や栄養に着目した商品開発を手がけている。
荒山さんはこれまでの経験を活かし、宮城県産の大豆を活かした商品のブランド化や、6次産業化による付加価値等の仕組み作りに挑戦したいそう。また、食品を中心とした開発や販売の実務指導も行いたいとのことである。
「捨てる文化の質的変化の実現と既存産業の見直し、地産地消の仕組み作り、東松島市の人口増につながるような事業を検討していく。これからが始めの一歩だ。」と語った。
「“美味しいものを作る”は“思いの大きさ”」
石巻市で生まれ育ち、高校卒業後は宮城調理師専門学校へ入学。その後、仙台の「勝山館」のオープニングスタッフとして就職し、料理の腕を磨いた。
前オーナーが「上新沼商店街の活性化のために」と、ギリシャ語で“みんなの集まる場所”を意味する“アゴラ”と名付けた店「みんなのアゴラ」を引継ぎ、平成27年4月に「旨い食処あごら」をスタートさせ、市内特産品をふんだんに使用し、味・見た目、すべてにこだわった料理を提供している。
「食材は生産者個々で違う。食材を活かすためには、生産者と料理人どちらも大事」そう話す渥美さんは、お店で提供されている料理を調理する際、その日の気温や状態に合わせ、量や調理時間を調整しているそう。
「どんな状況でも、美味しい。そして安心・安全をモットーに。見て・食べて美味しい、感動する料理を作りたい。そのためにどれだけ管理・改善をしていけるか。“美味しいものを作る”ということは、想いの大きさ、熱量だと思う。日々常に上を目指してやっていきたい。」
渥美さんは櫻井さんと“食で東松島を盛り上げたい”という思いが合致したことから、蒼いまちおこしカンパニーの発起人の一人となった。
今後はそのマインドを人に教え、その人の宝になるよう、人材育成をしていきたいと語る。現在、市特産品の“海苔”を活用した新商品開発を進めているとのこと。食材の魅力と料理人の思いが詰まった新商品の誕生が楽しみだ。
それぞれの経験、合致した思い
新たに立ち上がった「一般社団法人 蒼いまちおこしカンパニー」。
今後、東松島市のまちおこし人材育成、地域食材を活用した商品開発を展開し、“食”で東松島を盛り上げる仕組みづくりに取り組む3人のこれからの活動に乞うご期待。
次回は蒼いまちおこしカンパニー新商品第一弾である「ブルーインパルスカレー」をご紹介します。
写真:酒井志帆 取材・文:上野恵美
一般社団法人 蒼いまちおこしカンパニー
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宮城県東松島市矢本字大溜118番地1
TEL&FAX:0225‐82‐4440