投稿日:2023.02.23
防災シェアルーム
BOSAI SHARE ROOM
3.11を風化させず、防災の知識をシェアするコーナー
経験者さんから学ぶ、もしもの時の大切な事。
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SHARE 07 東日本大震災遺構 旧女川交番
女川町では震災の津波により被災した交番を東日本大震災遺構として保存しています。JR女川駅を出て、正面に広がるシーパルピア女川を真っ直ぐ海に向かって歩いて約5分。津波により横倒しになった旧女川交番が被災当時の姿で残されています。
同じ悲劇を繰り返さない。そして、後世へと伝えていくために。
旧女川交番は昭和55年に建てられた鉄筋コンクリート造2階建ての建物。海岸沿いに位置していた旧女川交番は震災における津波により建物が波に飲み込まれ、引き波より建物の基礎部分の杭が引き抜かれて横倒しになりました。いざ震災遺構を直接目にすると、鉄筋コンクリート造の建物にもかかわらず根こそぎ倒してしまうほどの津波の力が想像を絶するほどの威力だったということが分かります。
女川町は2011年9月、震災遺構の保存を提唱。その後協議を重ね、2017年に「経年劣化を許容しつつ 100年程度の保存を目指す『見守り保存』をしたい」と方針を表明。未来に繋ぐべく、被災当時の場所に旧女川交番を残すことを決めました。
旧女川交番の建物をぐるっと囲むように作られたスロープの壁面には、震災前の女川の様子から被災当時の状況、そしてそこから復興へと歩み続けた女川町の人々の軌跡がパネルで展示されています。
「当たり前だったはずの日常の姿はもうそこには無かった」「多くの方々に支えられながら先の見えない中でも少しずつ前に進んだ」「これからも海ととにに生きることを選んだ」「復興の灯を絶やさぬよう互いに励まし合った」などの見出しが掲げられたパネルを順路に添って読んでいくと、その歩みや願いに、思いがこみ上げます。日々の中でつい忘れがちな“ふと何気なく過ごす日常は当たり前ではない”ということを、改めて再認識しました。
今回の MOOKS 防災シェアルームでは、伝え続けていくことの大切さ、そしてその思いを繋ぎ続けていけますように、という願いを込めて女川町の震災遺構「旧女川交番」をご紹介しました。女川町の方々の思いが少しでも多くの人に伝わりますように。