PICK&UP No.38 ベアシーク -東松島市-
ライフキネティックでみんなを笑顔に!
人生向上サポーター・ベアシーク
ライフキネティックを推進すべく、東松島市で『ベアシーク』を立ち上げた熊谷有嗣(くまがいともつぐ)さんをご紹介!今回は熊谷さんのこれまでとこれからに焦点をあてて、それぞれの思いをお聞きしました。
ライフキネティックとの出会い
7歳からサッカーを始め、今もサッカーを続けている熊谷さん。サッカー少年だった熊谷さんは中学生の頃から腰痛を患っており、これまで4回の入退院を繰り返してきたそう。ヘルニアや椎間板症と診断されるものの、症状は治らず、ずっと腰痛を抱えていたところ、あるとき起き上がれないほどの痛みに襲われ緊急入院に。病院でいろいろな検査を行った結果、発症確率が低いと言われる腰の難病「強直性脊椎炎」であることが発覚したそうです。医者から言われた「このままでは歩けなくなるかもしれない」という一言は、熊谷さんに大きな衝撃を与えました。病気を治すためにはどうしたらいいのか、何か改善に繋がる糸口はないか、と、インターネットで調べていく中で、一向に回復しない腰痛を改善する手段はないかと模索した熊谷さんは、「難病があったとしても自分にできることはなんだろう」と考え、さらに調べていくうちに脳機能開発プログラムである“ライフキネティック”に出会ったそうです。
『“やれる”という勇気を与えたい』
その思いからの独立・起業までの歩み
「このままでは歩けなくなるかもしれない」「難病があったとしても自分にできることはなんだろう」と考えたとき、熊谷さんは「健常者だった頃の自分と難病患者になってからの自分に、あんまり差はないんじゃないかな」と思ったそう。「難病があってもできることはある。自分が経験し、改善の一助となったライフキネティックを、自分の言葉で伝えていきたい。多くの方へ知ってもらいたい。そして、難病をハンデに感じないでほしい。 “やれる”という勇気を与えたい。」という思いから、長く勤めた会社を退職し、独立。2023年にライフキネティックを推進する会社として『ベアシーク』を立ち上げました。
社名の『ベアシーク』は、前職のあだ名で名字の一部である「熊」の「ベア」と、探求者を意味する「Seeker(シーカー)」の動詞となる「Seek(シーク))=探求する」を掛け合わせたもので、“何かを学び続ける”という熊谷さんのスタンスから名付けられた社名だそうです。
ライフキネティックは
自然と笑顔になれるプログラム
熊谷さんがライフキネティックを知ったきっかけはドイツの論文だったそう。脳科学と運動学を掛け合わせた“脳機能トレーニング”と言われるドイツのメソッドで、プログラムの内容は難易度の調整等アレンジが利くため対象者は4歳~高齢者と幅広く、「誰でも簡単な動作の組み合わせでできる」というのが特徴。ベアシークのメソッドは、スポーツをするときに無意識的・意識的に行われている観察、選択、決断、実行など瞬時に脳内処理するためのトレーニングや、色や数字、矢印や線などを使いながら様々な動きを取り入れて身体を動かすプログラムなど、スポーツに効果的なものから私生活に活かせるものまで広く展開されています。
ライフキネティックにはエドゥといったお手玉、ジムボールやシフォン、緑赤メガネ・眼帯など様々な器具を使用します。上記写真3枚目 は通称“テトラ”というキャッチ遊具を使ったメニューを行っている様子です。これはテトラを投げる際、テトラの先端の色(赤・青・緑・オレンジ)を一つ指定し、色を言いながら相手に投げ、取る側は言われた色の部分を掴み、キャッチする、というプログラム。緑赤メガネをかけることで、黒や紫、白など、実際にテトラには存在しない色が見えてきます。取る側は言われた色を正しく認識し、指定された色を掴みます。緑赤メガネをかけた状態でも、正しく色の認識が出来るようになると、目の左右差がなくなり、目の効き目が両目になります。視野を広げて正しく認識するためのトレーニングの一つです。
色で判断し動きを変えることや、投げたり取ったりする際の距離の感覚を掴むことは、簡単そうに見えて意外と難しく、「簡単そう!」といざやってみると、「あれあれ、上手くできない。」なんてことも多いそう。最後は出来ても出来なくてもみんなで盛り上がり、本気で楽しむ、という温かい光景に、熊谷さんは「ライフキネティックは右と左が分かれば誰でも出来ると思います。小さい子供でも、体力に自信がなくても、大丈夫。最初は目と脳と身体の連動が難しくて混乱することもあるけど、諦めずにチャレンジ!頭が疲れたときこそ、ライフキネティックの「出来なくても楽しい」という真価が問われます」と語ります。楽しいことをやって、楽しく生きましょう。と伝えたい」と優しく語ります。
熊谷さん自身も、ライフキネティックを始めてから子ども達とサッカーができるまでに回復。22年秋にはライフキネティック公認パーソナルトレーナーの資格を取得し、現在は健康増進センターや放課後こども教室等でライフキネティックを通して、多くの方々に笑顔を届けています。
“わたしたちはもっと向上できる”
ベアシークのこれからの思い
起業の最終目標の一つである“就労しやすい環境作り、仕組み作りをしたい”という思いについてさらに話を聞いてみたところ、難病患者は治療にかかる医療費の負担も大きく、生活が困窮している人も多い中で、様々な事情で2年以上就労を継続できる難病患者は2割程度だそう。熊谷さんは「“難病だから”と一括りにしないで、難病があってもできる仕事はあるんだよ。と知ってもらい、役割を作ることで難病患者の人々にもやりがいを見つけてほしい、という思いがある。いろんな働き方があるからこそ、難病患者の方には“自分のことを労わりながら頑張る。という思いは捨てずに頑張ろう。”という思いを、地元から発信していきたい。」と優しくて強い、まっすぐな眼差しでお話ししてくれました。
失敗、挑戦を繰り返しながら、これまで立ち止まらずに進んできた熊谷さん。自分への応援、そしてみんなへの応援を胸に、進化し続けるライフキネティックのメソッドと共に、ベアシークの冒険はこれからも続くことでしょう。
文:酒井志帆 写真:同社提供
ベアシーク
宮城県東松島市矢本字二反走191-2
tel. 080-6030-9658