投稿日:2023.06.23
100通りのありがとう~心の復興13回忌ミュージカル~東松島公演
東松島市コミュニティセンターで、3月に行われた、東日本大震災の犠牲者への思いと世界から寄せられた支援に対する感謝を伝える「心の復興 13回忌ミュージカル 100通りのありがとう」を見てきました。
コミュニティセンターの席が埋まるほどの来場者数で、会場は熱気で溢れていました。出演者は2~81歳の東松島をはじめ、石巻圏域の方々やゆかりのある方々総勢100人近くが出演していました。出演者自身の被災体験や亡くした家族への思いを、舞台演出、監督など幅広く手掛けている寺本建雄さんが聞き取り、台詞を考え、演技指導をして作り上げたミュージカルだそうです。
▶︎“100 通りのありがとう”誕生のお話は
BOSAI SHARE ROOM へ
出演者の実体験を自分の口で身体で表現する様は、見ていて涙が込み上げました。心の叫びや心の呟きをありのまま表現して出し切っているように感じました。
来場者の中からもすすり泣く声が聞こえる場面もありましたが、時折ユーモラスな台詞、前を向いて頑張る勢いのある元気な台詞なども飛び出し、心の復興の元気となる作品だと思いました。
津波で亡くなられた消防団員役2人と他の消防団員との掛け合いが特に印象に残りました。
市民の安全の為に危険な中、水門を閉めに海の方へ向かい、水門を閉めた後で津波にのまれ死んでしまったこと、生き残った団員たちが遺体の収容や夜回りに奔走したことも互いの状況を報告し合う形で構成されていました。
実際、亡くなってしまって聞くことができない消防団員2人の言葉が、今このような形でミュージカルで蘇り、生き残った消防団員と互いに会話し、互いに称え合い励ましあうそのシーンが、ご遺族の心をきっと癒すのではないかと思いました。
ミュージカルの舞台で大きな声で、演技で、表現してくれる姿を見て、心の叫びを代わりに叫んでくれているように感じ、同じ経験をした方々が少しでも癒されるのではないかと思いました。
「100通りのありがとう」は、感謝の代弁者でもあり、心の傷の代弁者でもあり、セラピーでもあるのではと個人的に思いました。
キラキラと舞い降りる粉雪のような演出の中、フィナーレに向かい、出演者の皆さんの笑顔に元気をもらいました。
涙、涙、笑顔、笑顔で観劇しました。
by MOOKS記者 2階からめぐすり