PICK&UP No.18 花水木デイサービスセンターもとまち -石巻市-
(全5回・第1回目)
理学療法士から転身、
「できる限り見守りたい…。」
行き着いた先が介護・福祉の仕事でした。
社会福法人一視同仁会さんが運営する「花水木デイサービスセンターもとまち」は、 石巻市中央第三復興住宅の2階にある、旧北上川沿いの美しい景観の介護施設です。 所長の阿部和也さんに施設の事、介護系の仕事を志したきっかけをお聞きしました。
問題の一部だけを見てもしょうがない。
家庭環境、暮らし方など、利用者さんの全体像を
きちんと把握して、サポートしたい。
「花水木デイサービスセンターもとまち」の阿部所長さんが介護系の仕事をはじめたのは平成22年の11月。東日本大震災が起きる前の年でした。前職は、医療系にお勤めし、理学療法士を15年間されていました。前職の時、「リハビリをして少し動けるようになっても、その後患者さんやご高齢の方が自宅へ帰ってからどんな環境で過ごしていくのだろうか…。安全に安心できる生活を送られるのだろうか。」 と、その人のバックグラウンドや退院後の事がとても気になって、心配でもどかしさを感じながら、理学療法士をしていました。「もっと全体的に患者さんやご高齢の方の人生をより良いものにしたり、安全で安心なものにするお手伝いをしたい。」という想いが強くなり、行き着いた職業が介護・福祉のお仕事だったそうです。
子どもの頃の受け取った愛情と、前職の経験や想いは
介護・福祉の仕事に大きく繋がっている
阿部所長さんは子どもの頃、一番孫だったのでおじいちゃんとおばあちゃんにとても可愛がられ、厳しくも優しくいろんな事を教わりこの石巻で過ごしていました。「自分がおじいちゃんおばあちゃんからもらった愛情や恩を、他人だけども恩を送って行きたい」という思いが今の原動力に繋がっているそうです。そして理学療法士を目指そうと思ったきっかけは、阿部所長さんが子供の頃、遠洋漁業で船の仕事をしていたお父様が仕事中に片手に大きな怪我を負い、一生片手が使えなくなるかもしれないという危機的状況だったところ、腕の良い理学療法士さんのリハビリにより驚異的な回復をし、仕事の復帰も果たしました。子どもながらに感謝と尊敬の気持ちで、とても強く印象に残り、将来、自分も理学療法士になる!と心に決めたそうです。
「人間やればできるんだ。できないならば
別な方法を見つけていけば良いんだ。」
理学療法士の頃、末期癌の患者様のところへ訪問リハビリに行った際に、ご家族から「本人が最後に、どうしても自力で歩けるようになりたいと言うので、なんとか願いを叶えていただけませんか?」とお願いされ、その日から一緒に練習を重ね、患者さんは家の中をゆっくり歩けるようになりました。ご本人とご家族にとても喜ばれ「良かった…。ありが とう。」と感謝されたその数日後、間も無くしてお亡くなりになりました。阿部所長さんは「人間、やれば奇跡が起こせるんだ。やらないと始まらないんだ。できないならば、別な方法をどんどん見つけていけば道が開けるんだ。」と気付かされたのでした。 その経験から、もっともっと想いを汲んで、人生を最後まで明るく楽しく過ごしていただくためのお仕事をしたいという想いが強くなり介護・福祉業界の扉を開きました。
デイサービスに行くと
「おばあちゃんがいつもと違う表情で
楽しそうで嬉しい!」
阿部所長さんは、デイサービスの仕事で、ご家族にデイサービスでの利用者さんの写真を見せた時に、「おばあちゃんがいつもと違う表情で嬉しい!」と言われた時に、幸せを感じるそうです。最初は元気があまりなくても、何度か通っていただくうちに元気で楽しく過ごされる方がほとんどだそうです。人によって、ケアをするアプローチを変え、身体が大変な方でも気持ちを上げると身体が良くなって行く方もいれば、身体が楽になると心も上向きになる方もいるので、お一人お一人に合ったケアをしているそうです。 デイサービスのフロアからは旧北上川と中瀬を望むことができ、爽やかな風を感じることができます。そこで、利用者同士、またスタッフと会話を楽しみ体を動かしながら、趣味や生きがいを見つけて皆さん楽しそうです。
ウクライナから避難されて来た方と
石巻の利用者さんの出会い
今年の6月にウクライナの方が通われるようになり、地元の利用者さんにも変化があったと言います。地元の方は「次来たらこうしてあげよう。」「これをあげよう!」と、慣れない土地に来たウクライナの方にお世話をしたい気持ちがどんどん湧いて来て、利用者さんの活力に繋がったそうです。大変な経験をされて、避難されて来たウクライナの方は、徐々に元気を取り戻し、ジョークでみなさんを笑わせたり和やかな日々を送られているようで す。「一刻も早くウクライナが平和になるように願うばかりです。」と阿部所長さん。
今後は、利用者さんのご家族にも
アプローチし、ご家庭の不安や負担を減らしたい
今後は、家族やご本人の不安や、困っている事をお聞きして、利用者さんとご家族のご負担を減らし、ご家庭の状況を見ながら、ご自宅での介助のレクチャーや今後の生活の仕方を、看護師・介護士・ケアマネージャー等、チームアプローチで役割分担してより良い人生のご提案をしていくそうです。
阿部所長さんは「ご家族も利用者さんも悔いの無い人生を送っていただきたいです。」と今後の想いを教えてくださいました。
ご見学やお申し込みのご相談は、下記の窓口へお気軽にお問い合わせしてみてください。 詳しい施設の情報は下記のホームページからご覧ください。
文:上野恵美 写真:酒井志帆
花水木デイサービスセンターもとまち
住所 〒986-0822 宮城県石巻市中央1丁目14-5
見学・ご利用のお申込みはこちら TEL 0225-25-6258
営業時間 8:30~17:30
定休日 水曜日・日曜日