PICK&UP No.44 seikoエレクトーン教室 -石巻市-
創業から33年
子どもから大人まで親しまれてきた
seikoエレクトーン教室
石巻市にある、今年で33周年を迎えるseikoエレクトーン教室・せいこリトミックアカデミーのご紹介です。こちらの教室では、幼児教育のリトミックから、学生、大人までが通う音楽教室。コンサートやLiveで演奏する機会を多く設けているアクティブな教室の魅力に迫ります。
インタビューに答えてくださったのは、代表の佐々木せい子先生(以下せい子先生)と、教室に通う大人の生徒さん。seikoエレクトーン教室は、1990年石巻市内にて創業しました。
「エレクトーン」はヤマハ株式会社が1959年に開発販売を開始した電子オルガンの一種で、上鍵盤、下鍵盤、ペダル鍵盤という3つの鍵盤それぞれで両手両足を使い奏でることができ、多彩かつリアルなサウンドとリズム、様々な組み合わせで、全身を使い本格的に奏でられる楽器。
せい子先生がエレクトーンに出会ったきっかけは、4歳の時、エレクトーン界を切り開いたと言っても過言ではない道 志郎氏が石巻でコンサートを開催するという事で、音楽好きの母 和子さんに連れられて見に行ったことがきっかけでした。そこで和子さんが感動し、「素晴らしい世界だけれども、自分はもうできないから、娘に是非やらせたい。」と、当時石巻市穀町(現在は中里)にあったサンリツ楽器のエレクトーン教室の幼児科へ通うことになったことからでした。
先人の素敵な演奏を聞いて
「かっこいいな、次は自分がそうなろう!」
夢の実現を繰り返し、今がある。
幼少時代から成人になるまで、エレクトーンを指導してくれたサンリツの先生方や先輩達の活躍に影響を受けながら、エレクトーンの面白さに夢中になり、めきめきと頭角を表していったせい子先生。「先生や先輩方のようになりたい、そうなろう!」と練習し、目標を達成してきた子ども時代を送っていました。
数年前のある幼稚園でのイベントで演奏した際に、たまたま保護者の中に、小学校時代の同級生がいて「すごい!夢を叶えたんだね!」と声をかけられて、どういう意味かと思ったら、「小学校の時の文集に書いてたよね?エレクトーンを弾く仕事に就きたいって。本当にそうなったんだね!」と言われ、夢を実現して充実の毎日をもらって、あらためて幸せだと感じたそうです。
人に演奏を披露することで
培われるパフォーマンス力と
コミュニケーション力を大切に
20歳の頃、若くして教室をスタートし、たった一人の3歳児の生徒さんから始まったseikoエレクトーン教室は今年から2人の講師を迎えて現在5名体制で運営しており、現在の生徒在籍数は約95名に及びます。
その人気の秘密の一つは、教室の発表会のほかに、教室を飛び出して人前で演奏する機会を多く設けている事。日頃の練習の成果を大衆の前で披露することで、対応力やパフォーマンス力がつくそうです。せい子先生は、「例えばコンサートやライブを目標として、練習に取り組む気持ちや当日の緊張感、達成感などから生徒自身が学ぶ事で、自立心や自尊心、コミュニケーション能力など、社会人になってからも役立つ「生きる力」をエレクトーンやリトミックを通して生徒たちにつけさせたい。」という思いで、様々なイベントで発表する機会を作っています。
子どものころからステージを
作るのが好きだった
せい子先生は、小学校の頃文化祭で当時テレビで流行していた「ザ・ベストテン」を真似た脚本を作ったり、舞台構成を担当して自身も松田聖子の「赤いスイートピー」を歌唱したそうです。とにかく、人前でのパフォーマンスが楽しくて、観客が喜ぶ姿を見ることが好きだった幼少期だったそうです。
母、和子さんが営む飲食店を
若い頃に手伝う中で学んだ
おもてなしの心
せい子先生が、大切にしている「大人になってからの生きる力・対応力の育成」にも繋がる話ですが、母 和子さんが、せい子先生の幼少期から成人にかけて石巻市立町で飲食店を経営していたそうで、当時、賑わいを見せていたお店は、様々なお客様に親しまれていたそうです。お店を手伝う機会もあり、そこでお客様に楽しんでいただく工夫やおもてなしの姿勢、心構えなどを学んだそうです。長年、多くの生徒さんを指導し、数々のライブやコンサート、発表会を運営されてきたのも、一度に様々なお客様に対応して、おもてなしをしていた経験からくるものなのではないでしょうか。
幼児期のリトミックと
ピアノdeクボタメソッドで
子どもたちの脳力を活性!
「生きる力」をめきめきつけてあげたいと願う、せい子先生が力を入れているリトミックとピアノdeクボタメソッド。聞き慣れない方もいるかと思いますが、この教育は、有名なアスリートや、世界で活躍する企業の創設者など、世界を牽引する方々が幼い頃に受けていた幼児教育だそうです。門外不出の教材との事で、資料は見ることができませんでしたが、実際に教室へお邪魔すると、多彩な生演奏と歌や動き、手足や全身を使った動作により、先生と自分、親と自分とのふれあい、声のかけあい、コミュニケーションを通して、一つの曲や動きの中で様々なことを学べる構造になっていました。
教室に通うお子さんのお母様方に聞いたところ「保育所に入ってから、先生のお話をしっかり聞けることに驚かれる」「お遊戯の覚えがとても早くて周りに驚かれる」と、通わせている保護者さんが自覚するよりも、周りから驚かれることが多いというエピソードが多く聞かれました。リトミックの効果をひしひしと感じている声が多かったです。1歳から3歳までに、年間のカリキュラムが決まっていて、週に1回40分のレッスンで、同年代とのふれあいも刺激となる楽しく学べるコースです。
未経験大歓迎!
それぞれの夢をもち
通う大人の生徒さん
大人の生徒さんにも人気で、「小さいころの夢だった」「もっと上手くなりたくて」「全くの未経験だけどオリジナルの曲を作ってみたい」など、様々な夢を抱きながら教室の扉をひらく大人生徒さんたち。趣味を追求することに、一緒に楽しみながら伴走しているせい子先生に、生徒さんは毎回のレッスンが楽しくて、次のレッスンが待ち遠しいと言います。
教室33周年に寄せて
大人生徒さんにインタビュー
大人教室に通う佐藤秀二さんは、5年前に教室の前を通りかかった時に習ってみたいと思った事が入会のきっかけだそうです。初心者だった佐藤さんは、鍵盤を弾く事が夢だったそうで、既存の曲を弾けるように教えてもらい発表会に出たり、慣れてきた頃には自身の思い描く世界を表現したオリジナル曲を作る事ができたり、夢のようだと教えてくださいました。「作曲の知識が全く無い私でも、作る事ができた世界にたった一つの曲があります。先生から、コード進行やサビ、譜割、落とし所、色々丁寧に教えていただきました。出来上がった時はそれはそれは嬉しかったです!一度しかない人生、先生にとって素晴らしい33周年になりますようにと思います。」
大人教室に通う佐々木里絵さんは、小学生の頃にエレクトーンを習っていた事もあり、娘さんにもエレクトーンを習わせたくて今から8年前に、体験を申し込んだのがきっかけで親子で習い出したそうです。
「先生とのレッスンの時間は、私にとってかけがえのない時間です。何かを習うって教わるって、本当に素敵な時間で人生のギフト。」と語る佐々木さん。笑いあり、学びあり、活力をもらっているそうです。
「教室を33年間続けるって本当にすごい事。たくさんの生徒が音楽を通してたくさんの事を学び、思い出が沢山あるんだなぁと思うと、本当に素敵で素晴らしい。羨ましく感じます。常に学び、新しいチャレンジをする先生の姿は本当にカッコよくて憧れ、尊敬します。また、33年続けてほしいです!」
武田真子さんは、3歳になる直前に、教室に入会しました。それから20年程エレクトーンを学び、現在はヤマハ・システム講師に就任、同教室では補講・代講を担当しています。教室で習い出したきっかけは、10歳上のお兄さんが先に教室で習っていてその影響だそうです。「せい子先生は、私にとって第二の母。音楽のことだけでなく礼儀作法や一般常識も叩き込んでもらいました。この教室は音楽的にはもちろんですが、人間的にも大きく成長させてくれる場所だと思っています。小さい頃からお世話になっている教室がこんなに大きくなったと思うと感慨深いです。ご迷惑もたくさんおかけしてきましたが、おかげさまで音楽を仕事にすることができ感謝しています。これからも先生を見習って、ずっと学び続ける姿勢を忘れずに成長し続けたいと思います。」と武田さん。
来る12月17日の33周年の記念コンサートでは、夢にまでみた先生とのアンサンブルで演奏を披露するそうで、「全力で楽しみたいと思います!」と語っていました。
教室33周年の記念コンサート
せい子先生のこれからの夢とは
せい子先生にこれからの夢を尋ねると、「自分はすでに夢を叶えた上に、さらに夢現実からの達成感・希望・充実の毎日をもらってるから、楽しくてしょうがない日々なので、あらためて夢と言われると‥難しいのですが。あ!生徒と一緒に「全国ツアー」とか。修学旅行みたいでめっちゃ楽しそう!もしくは生徒の活躍を見るのが何より幸せなので、成長した生徒たちがプロデュースしたコンサートにお呼ばれするとか。
かつて、〝将来カーネギーホールに立って、せいこ先生を招待する!〟と力強く言ってくれた子がいました!ワタシはそれは必ず実現すると思っているので、すでに日々、心待ちにしてます」とせい子先生。
12月17日に行われる「33th anniversaryエレクトーン・ピアノコンサート「special thanks」は教室33周年の節目となる記念コンサートへの思いを尋ねると、「私と共に、力強く頑張ってくれている紗衣先生・真子先生、在籍生のみなさん、そして、私が若手と言われていた頃から生徒として活躍して教室を盛り上げて牽引してくれたSpecial guestの祐子さんや理沙先生と、一緒にステージに上がって節目を形にしたいな、という私のわがままで始まりました。感無量です。皆さんは年寄りの勝手な想いに付き合わされて迷惑だと思いますが(笑)。」とせい子先生。
「あとはやっぱり、夢と言うよりは願いですが、〝神様、お願いですからもっと演奏が上手くなるよう助けてください〟ですかね!(笑)。多分、年老いて瞳を閉じて命が尽きる瞬間にも「あーあ、あそこのフレーズもうちょっと上手く弾ければ良かったのにな」とか考える気がしますし(笑)。」
全身全霊で音楽が好きで音楽を楽しんでいる佐々木せい子先生ならではのコメントをいただきました。
音楽が好きなMOOKS読者様、もし良かったらコンサートに足を運んでみてはいかがでしょうか?新しい扉が開くかもしれません。
文・上野恵美 写真・教室提供
seiko エレクトーン教室
〒986-0815
宮城県石巻市中里三丁目3-5
tel. 070-5323-3628