PICK&UP No.58 幸漁丸水産 – 東松島市 –
「牡蠣で笑顔に」
美味しい“鳴瀬かき”を全国へ

今回は東松島市で牡蠣の養殖業を営む幸漁丸水産の代表 木村幸喜さんに、これまでの歩みや「鳴瀬かき」のお話しを伺いました。牡蠣漁の現場の一コマもご紹介します。
「幼少期から海が好きだった」
牡蠣漁師になるまでの歩み
幸漁丸水産 代表 木村幸喜さん(以下 木村さん)が家業の牡蠣養殖の世界に触れたのは小学生のころ。幼少期の木村さんは体を動かすのが好きで、ミニバスケットボールのチームに入っていたり、時間があればおじいさんや友達と海で釣りをしたりと、活発な少年だったそう。
「小学生5~6年生の頃から陸の作業を手伝っていて、中学生になってからは休みの日に船に乗るようになりましたね。当時はフォークリフトがなかったので、牡蠣殻を手で運んだり、一輪車で運んだり。夏は種牡蠣の赤ちゃんを付着させるためのホタテの殻を海に入れる手伝いをしていました。小さい頃から海が好きだったから楽しかったし、“牡蠣漁師っていいな”と思っていました。」と当時のことを振り返る木村さん。
牡蠣漁師であるお父さんの姿を見て牡蠣漁師への憧れを抱きつつも、手作業で牡蠣の着いたロープを引き上げて収穫したり、牡蠣を一輪車で運ぶ姿に「大変そうだな」と感じていたと語ります。

高校卒業後、木村さんは牡蠣養殖業ではなく、自分の好きなことの一つであった料理人の世界へと進むべく、宮城調理製菓専門学校へ入学。専門学校で料理の基本や和洋中を広く学び、その後 松島町の小松館 好風亭へ就職し、懐石料理や和食の料理人を務めていたそう。
転機となったのは2011年——東日本大震災をきっかけに、木村さんは料理人を辞め、地元に戻り、家業である牡蠣養殖の世界へと踏み出しました。

穏やかな海から荒波の太平洋へ──
美味しい鳴瀬かきができるまで
昨年12月末頃、牡蠣の収穫作業に同行させていただき、水揚げの撮影・取材をおこないました。
幸漁丸水産の船は朝5時に東名漁港を出港し、果てしなく広く感じるほど暗く静かな早朝の海を進み、養殖ポイントへと向かいます。


「延縄式垂下法」といわれる方法で牡蠣を育てているので、ポイントについたら海面に浮かぶ樽浮の下(水中)に連なって吊り下がっている牡蠣を機械で引き上げて収穫していきます。
鳴瀬かきは豊かな環境に恵まれていることから1年で出荷できることが特徴です。
幸漁丸水産では、牡蠣の成長に合わせて場所を移動しながら育てていく“四段仕込み”で養殖しており、赤ちゃん(種牡蠣)の頃は穏やかで静かな松島湾で成長させ、大きくなってきた頃に潮の流れやうねりが激しい外洋へ移動させます。そのような段階を踏むことで、弾力のある貝柱となり、身の引き締まったプリプリな大粒の牡蠣へと成長し、私たち消費者のもとへ届きます。


収穫作業を終え陸に戻ったら、収穫してきた牡蠣をフォークリフトで持ち上げ、剝き場へと運びます。
剥き場の外で選別作業を行い、その後、“剥き子さん”と呼ばれる方々へバトンタッチし、剝き身で出荷される分として一つ一つ丁寧に剥かれていきます。生牡蠣は柔らかく繊細、そして殻の中いっぱいに大きな身が詰まっているため、身に傷をつけないように剥くのはとても難しい作業。綺麗にツルンと剥くテクニックと手に持ってから身を離すまでのスピード感はまさにベテランの職人技です。


消費者と繋がる喜び──
“食”を通じて共有したい想い
これまで全国のたくさんの方々に美味しい鳴瀬かきを届けてきた幸漁丸水産。
牡蠣漁師をやっていて嬉しかったことや思い出深いエピソードを聞いてみたところ、「生産者と交流し、食の魅力を発信する『東松島食べる通信』という情報誌の編集長をやっていた太田さんが、埼玉県東松山市の『いなほてらす』(農産物直売所)で行われたイベントに僕らを連れて行ってくれたんですけど、実際にお客さんと直接話しをして、蒸し牡蠣を手渡しして、目の前で食べてもらって—— 直に消費者の声をタイムリーに聞くことが出来たことに感動しましたね。」と木村さん。
“今後も日本の安心安全な牡蠣の美味しさを広めていきたい”と力強く語ったあと、「老後は静かにあったかい南の方に行って、海の近くでカフェとかやるのもいいですね。」と笑顔で夢を教えてくれました。
自然の恵み、そして生産者の想い、それらが形となり消費者の私たちの元に届くことに改めて感謝し、想いを込めて美味しくいただくことで、食を通じた想いの循環がさらによりよいものへとなっていくことでしょう。

少しのひと手間でさらに美味しく!
牡蠣のアレンジレシピ
牡蠣といえば定番の食べ方は“蒸し・焼き・生”ですが、それだけじゃもったいない!ということで、ほかのおすすめの食べ方をお聞きしました。
「おすすめの食べ方は天ぷらですね。そのままでも美味しい牡蠣なので、シンプルにサクッと揚げて食べてみてほしいです。天ぷらに焼きのりを巻いて食べるのも好きですね。牡蠣の味と海苔の風味が合って美味しいですよ。フライのときは、ソースやタルタルソースの他に少しひと手間を加えたオリジナルソースで味変しながら食べるのも楽しいですし、オイル漬けにしたらパスタとあえるだけで簡単に本格的な味になりますよ。」


幸漁丸水産では、消費者と“食”を通じて繋がる喜び、そして鳴瀬かきの美味しさをさらに広げていくため、通販・SNSでの情報発信にも力をいれています。“美味しい物を、美味しい時に”ぜひホームページ・SNSもチェックしてみてください。
■Instagram
@kouryoumaru_oyster
https://www.instagram.com/kouryoumaru_oyster
■youtube
長谷川京子さんのyoutubeチャンネル『KYOKO‘S KITCHEN』でご紹介されました。
【牡蠣の香りオイル】蒸してかけるだけ!の簡単レシピ
https://www.youtube.com/watch?v=DAP65KEKdsY
■ホームページ通販はこちら

文・写真 酒井志帆
幸漁丸水産
住所 :〒981-0212
宮城県宮城郡松島町磯崎字華園188-1
TEL:022-354-4033
